タヒチアンダンス(オリタヒチ)のオテアを見たときに、力強い踊りとともに印象に残るのが、独特なタヒチアンドラムの音ではないでしょうか。
乾いた木の音を素早く刻むトエレや、身体に響くような低い太鼓など、異なる音を持つ楽器が重なり合うことで、オテア特有の迫力ある音楽が生まれます。
そして、ダンサーにとってタヒチアンドラムは、単なる踊りのBGMではありません。
リズムを聴き、その変化を感じながら身体で表現することも、オテアを踊るうえで大切な要素です。
この記事では、オリタヒチで使われる代表的な打楽器の種類や特徴、リズムについて初心者向けに紹介します。
タヒチアンドラムとは?
「タヒチアンドラム」という名前のひとつの楽器があるわけではありません。
オリタヒチでは、音や役割の異なる複数の打楽器を組み合わせて演奏します。
代表的な楽器には、
- トエレ(To’ere)
- ファアテテ(Fa’atete)
- タリパラウ(Tari parau)
などがあります。
それぞれ異なる音を持つ楽器が組み合わさり、複数のリズムが重なることで、タヒチアンドラム独特の音楽が作られていきます。
特にオテアでは、こうした打楽器による音楽とダンサーの身体表現が密接に結びついています。
トエレ(To’ere)
トエレは、タヒチアンドラムを代表する楽器のひとつです。
一般的な太鼓のように皮が張られているのではなく、木をくり抜いて作られた打楽器で、木製のスティックを使って演奏します。
「カン」「コン」と響くような、乾いた鋭い音が特徴です。
叩く位置やスティックの使い方によって音色を変えることができ、速く複雑なリズムを演奏します。
複数のトエレが作るリズム
タヒチアンドラムの演奏では、複数のトエレが同じリズムを一緒に叩いているだけではありません。
それぞれが異なる役割を持ちながら演奏することで、リズムに厚みや変化が生まれます。
例えば、伝統的なトエレの演奏では、
- アラタイ(Arata’i)
- タマウ(Tāmau)
- タハペ(Tāhape)
といった役割があります。
中心となるリズムを導く演奏に、別のトエレが異なるリズムやアクセントを重ねることで、一人で演奏する場合とは異なる立体的な音楽が作られます。
ファアテテ(Fa’atete)
ファアテテは、皮を張った比較的小型の太鼓です。
木そのものを叩くトエレとは異なる音色を持ち、スティックを使って細かなリズムを刻みます。
トエレなど他の楽器と組み合わさることで、演奏全体にさらに細かなリズムや勢いを加えます。
タヒチアンドラムを聴くときに、トエレとは違う高い太鼓の音を探してみると、ファアテテの存在にも気づきやすくなります。
タリパラウ(Tari parau)
タリパラウは、大きな太鼓による低い音で、演奏全体の土台を支える楽器です。
トエレやファアテテが細かなリズムを刻む中で、タリパラウの低い音は大きな拍や音楽の流れを感じる手がかりになります。
初めてタヒチアンドラムを聴いたときに「音が多すぎてリズムが分からない」と感じた場合は、まずこの低い音を探してみるのもひとつの方法です。
パフ・トゥパイ(Pahu tupa’i)
パフ・トゥパイも、皮を張ったタヒチの太鼓のひとつです。背が高く、両手の掌を使って演奏されます。
タヒチの打楽器には、木を叩くトエレだけでなく、皮を張ったさまざまな太鼓があります。
楽器の大きさや構造、演奏方法によって異なる音が生まれ、それぞれの音を組み合わせることで豊かなアンサンブルが作られます。
ペヘ(Pehe)とは?
タヒチアンドラムを理解するうえで知っておきたい言葉が、ペヘ(Pehe)です。
オテアの演奏では、ドラマーがただ自由に太鼓を叩いているわけではありません。
さまざまなリズムのパターンがあり、それらを組み合わせたり変化させたりしながら演奏していきます。
ダンサーにとっても、こうしたリズムを聴くことは重要です。
リズムが変化すれば、それに合わせてステップやアクセント、身体の使い方も変化します。
そのため、オテアを深く学んでいくと、ステップを覚えるだけでなく、「音楽を聴いて踊る力」も必要になってきます。
ペヘについては種類や構成など奥深い内容があるため、今後の記事で詳しく紹介します。
ダンサーはタヒチアンドラムをどう聴けばいい?
初めてタヒチアンドラムを聴くと、さまざまな音が同時に鳴っていて、
「どの音を聴けばいいの?」
と感じるかもしれません。
最初からすべての楽器やリズムを聞き分ける必要はありません。
まずは低い太鼓の音を探し、大きな拍や音楽の流れを感じてみましょう。
そこからトエレの乾いた音に耳を向けると、繰り返されているリズムや、その変化が少しずつ分かるようになります。
さらに慣れてきたら、ファアテテなど他の楽器や、複数のトエレが作るリズムの重なりにも注目してみてください。
そしてオテアを見るときには、
「ダンサーは今、どの音やリズムに反応しているのだろう?」
という視点を持ってみるのもおすすめです。
音楽と身体の動きの関係が見えてくると、オテアの楽しみ方もさらに広がります。
実際にタヒチアンドラムを聴いてみよう
文章だけで楽器やリズムの違いを理解するのは難しいので、実際の演奏を聴いてみましょう。
最初はすべての音を聞き分けようとせず、まずトエレの乾いた木の音に注目してみてください。
慣れてきたら、
- トエレが刻むリズム
- ファアテテなどが加える細かな音
- 低い太鼓が作る大きな拍
- 複数の演奏者によるリズムの重なり
にも耳を向けてみましょう。
一つひとつの音を意識して聴くことで、最初はひとまとまりに聞こえていたタヒチアンドラムが、異なる音とリズムを持った複数の楽器によって作られていることが少しずつ分かってきます。
そして次にオテアを見るときには、ダンサーの動きとドラムの音を一緒に追ってみてください。
タヒチアンドラムを「踊りの後ろで鳴っている音楽」ではなく、踊りと一体になったものとして感じられるようになると、オテアの見え方も変わってくるでしょう。
まとめ
タヒチアンドラムは、オリタヒチの踊りを支える重要な存在です。
トエレ、ファアテテ、タリパラウなど、それぞれ異なる音を持つ楽器が組み合わさり、複数のリズムを重ねることで、オテア独特の力強い音楽が生まれます。
そしてダンサーにとって、ドラムは単なるBGMではありません。
リズムを聴き、その変化を感じ、身体で応えることもオテアを踊る大切な要素です。
それぞれの楽器の音を少し意識してからオテアを見ると、これまでとは違った視点で踊りを楽しめるかもしれません。
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